IndexNovelまるで空気のような

おまけ

 はーい、みなさまこんにちは。当作品にこれまでお付き合いいただき誠にありがとうございまーす。
 せめてもの感謝の気持ちとして、この俺こと悪友その二が気になる二人のあれこれをガッツリ聞き込んでみようと思います。
 それではおふたりさん、どうぞー。

祐司 「あー。なあ、俺はどこから突っ込めばいいんだ?」

 何の話かしら?

祐司 「気持ち悪いからくねくねするな。とりあえず馬鹿みたいな偽名はやめろ。名乗らないのは失礼だろう」

 だって俺そうとしか紹介されてないし。……祐司怖いよ視線が突き刺さるよ。
 しかたないなあ。改めまして、6話で色々やらかしちゃった悪友その二こと坂上利春です?

祐司 「何で首傾げるんだそこで」

 なんとなく。それじゃ、祐司と里中さんも自己紹介をよろしく。

祐司 「何でお前が司会なのかも謎だよな……」
麻衣子「というか何で人様にガッツリ聞き込まれないといけないわけよ」

 だって、某悪友その一さんは二人のこれまでを知ってるし興味ないって言うから。でも俺は聞きたい。面白そうだから聞きたい。

祐司 「あのな……」

 ほらほら、自己紹介自己紹介。

祐司 「色々と釈然としないんだが……まあここはお前のおごりだからな。えーと、自己紹介? 原口祐司、中之城高校二年、これくらいか?」
麻衣子「里中麻衣子、以下同文」
祐司 「以下同文ってお前……」
麻衣子「あ、おねーさーん。ケーキセットくださーい」
祐司 「俺はホットサンドセットとビーフカレー。大盛りで」

 ミックスサンドとミートスパ、ケーキセット。コーヒーのホット、ケーキより前に下さい。

祐司 「お前それ食い過ぎ」

 育ち盛りですから。祐司だってそれなりに頼んでるじゃない遠慮なしに。俺の財布が血の涙流しちゃうよそれ。

祐司 「おごりって言ったのはお前だからな。それで何が聞きたいってんだ?」

 えーとまずは出会いを?

麻衣子「祐司……ねえ、もしかして坂上って……」
祐司 「あんまり気にしてやるな。頭いいくせにネジが数本抜けてるからコイツ」

 うわなにそれ二人とも誤魔化すなんてひどっ。

祐司 「出会いって言われても幼なじみだし、なあ?」
麻衣子「これと言ってはないわよねえ」
祐司 「幼なじみだってくらい言ってたよな?」

 くっ、うっかり失念してたなんて言えない。

麻衣子「言ってる、思い切り言ってるからあんた」

 鋭いよ里中さん?!
 えーと、気を取り直して。じゃあ二人は生まれた直後に電撃的に出会い、直感的に想いを交わしあった、ということで。

祐司 「ねつ造するな」

 却下するならそれなりの理由を聞かせてもらえるんだろうね? じゃあどうして祐司は里中さんのこと好きになったの?

祐司 「なんでって……そりゃ、まあ、なぁ?」
麻衣子「そんなこと言われても、ほら、その、ねぇ?」

 ……そこで熱く見つめ合って分かり合わないでよ。なんで一対二なの、ちょっと俺寂しい。

麻衣子「別に熱く見つめ合ってないわよ。妙なこと言わないで欲しいわ」
祐司 「寂しいって、自業自得だろうが」

 なに自業自得って。

祐司 「お前に忠告してやる気はかけらもない」

 何かよくわかんないけど祐司ひどっ?!

祐司 「ひどいのはお前の一連の行動だ」

 何その言いがかり!
 ひどいわひどいわっ。

祐司 「おー、きたきた。腹減ってたんだよなあ」
麻衣子「晩ご飯前だってのにヘビーよねそのメニュー」
祐司 「いいんだよ育ち盛りだから。お前こそ夕飯前にデザートってどうなんだよ」
麻衣子「甘い物は別腹って言うわよね〜」
祐司 「よくそんな甘ったるい物食えるよなー」

 ……ねえちょっとそこ無視しないでよ!

祐司 「ほら利春、お前のミックスサンドが来たぞー」

 おー、ありがとう祐司。ってちが、違うよ、俺の話を聞いてっ?

麻衣子「はい坂上、ミートスパも来たわよー」

 あ、ありがとう里中さん。うまそー。
 って、いやちょっと待って、二人して誤魔化そうとしてない?

祐司 「ほら、冷めるぞ」

 確かに冷えたスパゲティはいかがなもんかと思うけどーッ。

麻衣子「おー、いい食べっぷりー」

 やっぱりスパゲティの基本はミートだよねぇ。

祐司 「単純だよなあ、ある意味」

 ん? 何か言った祐司?

祐司 「いや、全然。……うまかったよ、ごっそさん。行くか、麻衣」
麻衣子「そーねー。ごちそうさま、坂上」

 どういたしましてー。ってえ、俺まだ何も話聞いてないんだけどっ?

祐司 「やばいな、門限まであと三十分もないぞ」
麻衣子「ほんと。遅れたら大変だわ」

 だからちょっと待ってッ。二人ともどこ見てるのッ? 何その感情のこもらない声ー!

祐司 「さー、帰ろうか麻衣」

 ちょっ、まっ、えええええー。くそうケーキを食べ終えるまで追えない。なんて罠だ……。

麻衣子「ねえ祐司、やっぱり坂上って……」
祐司 「いいから言ってやるな。一応おごってくれた恩人だぞ」
麻衣子「そりゃそうだけど――」

 くうう、がっつりも何も一つも聞けなかったなんて屈辱だああああ。

麻衣子「なにか悔しげにうなってるみたいだけど」
祐司 「振り返るな。ケーキを捨てて追ってきたらどうするんだ」

 あ、顔を寄せた。ささやきあってる。
 うわー、一人前のバカップルになっちゃってるよあの祐司が。
 人を斜め上から見て冷静に突っ込むのが趣味だった祐司が!
 ――ええと、結論。祐司と里中さんは誰もが認めるバカップルになりました。以上。

2006.08.27 up

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