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精霊使いと少年王
追記・ちょっと後の話 〜アーサー〜
「ソート?」
気安い口ぶりでグラウティス・フラストは言うのだ。
余の告げた名を舌の上で転がして、顔をしかめる。
「ソート・ユーコック?」
「フルネームまでは知らん」
「私のことをグラウトと呼んだなら、まあ彼だろうねぇ」
グラウティスは言って、何が面白いのか笑う。
「へぇ。元気だったんだ、ソート。あいっかわらず食い意地はってたかい?」
「知らん」
余の答えに肩を震わせた後、グラウティスは不意に真顔になった。
「まあ、どうでもいいけどね、そんなこと。彼に何もなくてよかった」
「アレを宮廷に招こうという話は真実なのか?」
こくり、グラウティスはうなずいて苦笑。
「私は、そうしたいんだけどねぇ。親友だし? でも本人が嫌がってるからなぁ」
「正気か?」
余の問いかけにあっさりとうなずきが返る。
「ソートがいると、退屈しないからね。今でもはじめてあった日のことは覚えてるよ。あれは夏のある日……」
グラウティスは笑いをこらえる様な顔で話し始める。
延々と長い話のどこが面白いのか余には理解できなんだが。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
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