精霊使いとその師匠〜ある日の朝の食卓で
▼ 「わかった」
「わかった」
「早めに出るからな」
師匠はあれをしてこれをしてと次々に準備項目を挙げる。
フラストに行く自体何度も経験があることだし、大体は覚えている。いったん出かけたらしばらく帰れないから、結構細々とあって完全に覚えるとまではいかないけど。
師匠の指示で一つずつこなしていくのは一日仕事だ。それでも何とか夕飯までには準備し終えることができた。
「早く寝て、早く起きろ」
いつもより早い時間に寝るのは違和感があってしばらくベッドの中でごろごろしてしまったけど、ふと気付くと次の日の朝になっていた。
今日はとりあえず町まで徒歩でいかなけりゃならない。
朝飯はみっちりくっとかなきゃなって思いながら台所に向かうと、そこにはすでに師匠がいた。
「ソート、悪いがそこの、つつんどいてくれ」
「え、あ。ああ」
師匠が指さした先には皿にのったサンドイッチが二皿分。
「朝も昼もサンドイッチだが、我慢しろな」
「そりゃかまわないけど」
俺が何か言いたげな気配でも感じたのか、新しいサンドイッチを作りかけていた師匠はふっと顔を上げる。
「出かけてる間にカビが生えたらしゃれにならないからな」
パンの処分を兼ねてってことか。言ってくれれば俺だってサンドイッチくらい作るのに。
そんな風に思いながら、言われたとおりにサンドイッチを作る。
まあ、見栄えとかはよくないだろうけどさ、その場合。
「よし、食うぞー」
師匠の合図を皮切りにもっそもっそとサンドイッチを食べて、片付けてから俺たちはすぐに出発した。
END No.4
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