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「愚かだな、小娘――――」
男は後ろを振り返り、追っ手を睨みつけた。
「何がです!」
叩きつけるような少女の声に男はにやりと笑う。
「貴様がいくら世界を救うなどと世迷いごとをほざこうと、そんなことが叶うはずもなかろう?」
「そんなことはありません!」
少女はキッパリと言い放った。
「世界は悪意に満ちている。我が負ける要素はひとつとてない」
男はばっと手を広げた。
それに対して少女は手にした杖を男に突き出した。
その動作で、ほわんとその先に光が灯る。
「ふん、馬鹿らしい」
男は鼻を鳴らした。その間に少女は呪文を唱えながら空中に魔法陣を描いている。
「管理人の名において命ず! 封印の精霊よ、我が前の悪しき者を封じよ!」
まばゆい光が魔法陣から溢れる―――男は利き腕で目を庇いながら対抗して力を放った。
「小賢しいわ、小娘っ!」
魔法陣の光は予定通りに男を飲み込もうとしている。
男が飲み込まれる瞬間、少女の方にも男が放った力が届いていた。
その力が今度は逆に少女を飲み込む。
お互いの術でお互いを飲み込んで、二人はその場からほとんど同時に消え去った。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
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