精霊使いとその師匠〜ある日の朝の食卓で

発端はここから

「ふあぁ……」
 起き上がって身支度を調えて、欠伸をしながら部屋を出る。
 眠い。どーしよーもなく眠い。それでも起きないわけにはいかない。顔を洗ってさっぱりすると多少は目が冴えて、俺はいそいそと作業を開始した。
 ――朝食作りを。
 働かざる者食うべからず、っていうのが師匠の持論だ。小さい頃はいざ知らず、今ではあれこれと任されている。
 朝食作りもその一つだった。
「それが一番気楽だろ?」
 最初に俺に朝食作りを指示した時、師匠はあっさりとそう言った。
「まあ、食えれば文句言わないから。ガンバレ?」
 それまでだってことあるごとに食事作りは手伝っていた。だからまあ何とかなるかなーとは思ってたんだ。
 実際は困難が待ち受けていた。
 一つめは、早起きしなくちゃいけなくなったこと。これは朝が弱い俺にとっちゃちょっと問題だった。いつもきっちり決まった時間に朝食を用意してくれてた師匠の偉大さを感じたね。
 二つめは、メニューを考えるのが面倒だってこと。師匠が言うとおり、昼や晩に比べれば遙かに選択肢が少ないけど、毎日同じものじゃ俺が飽きる。
 それなりにバリエーションをつけようと思ったら、いつも頭をひねる羽目になる。
 さて、今日は……。


 ▼ がっつり食いたいな。
 ▼ あっさりめにしとくか。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。

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